RTO

UTG vs BB SRP 40BB
Aペアボード CB解説①

MTT 8MAX ES40bb
UTG Raise2.3bb
BB Call
Pot 6.1BB
レインボー
AAK
29%
Bet 33%
43%
Bet 20%
17%
Check
11%
Other
AAQ
29%
Bet 33%
65%
Bet 20%
2%
Check
3%
Other
AAJ
39%
Bet 33%
55%
Bet 20%
2%
Check
4%
Other
AAT
41%
Bet 33%
50%
Bet 20%
1%
Check
8%
Other
AA9
41%
Bet 33%
56%
Bet 20%
1%
Check
3%
Other
AA8
37%
Bet 33%
61%
Bet 20%
1%
Check
1%
Other
AA7
38%
Bet 33%
60%
Bet 20%
1%
Check
2%
Other
AA6
34%
Bet 33%
64%
Bet 20%
1%
Check
2%
Other
AA5
29%
Bet 33%
68%
Bet 20%
1%
Check
2%
Other
AA4
25%
Bet 33%
72%
Bet 20%
1%
Check
2%
Other
AA3
18%
Bet 33%
79%
Bet 20%
1%
Check
2%
Other
AA2
14%
Bet 33%
83%
Bet 20%
1%
Check
2%
Other

上記の表は、GTO Wizardが示す戦略をグラフの形に書き起こしたものです。
とりあえず安めのベットをしておけば間違いないというのは一目で分かりますが、
その中でも2つの特徴が読み取れます。

①AAKボードのみチェック頻度が高くなっている。
②AAJ~AA6の真ん中辺りのボードは33%ベットの頻度が高くなっている。

今回は「①AAKボードのみチェック頻度が高くなっている」について解説していきます。

AAK-r UTG

上図を見ると、レンジ全体でチェック頻度を持ちつつも、
AのトリップスやKヒットの中でもキッカーが弱いほどチェック頻度が高くなっているのが分かります。
また、QQのようなスケアカードの少ないポケットとナッツ級のAA,AKのチェック頻度が高くなっていますね。
なぜこのような振り分けになっているのかというのは、CBを打った場合のBBのコール以上するレンジを見てみると理解することができます。

AAK-r BB

上図を見ると、BB側がコール以上を選択するハンドは、Aのトリップス、Kヒット、ポケット、ガットショットの4種のみになっていることが分かります。
逆に言えば、CBにフォールドされなかった時点で相手のレンジはこれだけ凝縮された強いレンジに変化するということです。
例えばUTGはQQでCBを打ちましたが、BBにコールorレイズされると仮定します。
この時点でQQの勝率はBBのレンジに対してガットショットとポケットには勝っているが、トリップスとKヒットには負けているという状況になりますよね。
BB側のレンジが持ちうるそれぞれの役の割合からQQの勝率を算出すると、約35.7%となります。
3回に2回は負けてるって感じですね。

QQより弱いほとんどのハンドをフォールドさせてしまい、コール以上されたら3回に2回は負けている。
少なくともQQというハンド単体で見た時に本当にCBを打ちたいか?と問われればほとんどの人がNOと答えるのではないでしょうか?
これがQQやKの弱キッカーのような、相手がフォールドしなかったらマージナルになるようなハンドにチェック頻度多めに割り振られている理由です。

当然、このようなマージナルなハンドばかりでチェックレンジを構成してしまった場合、相手にエクスプロイトする隙を与えてしまうことになります。
BBがKの強キッカー以上のハンドを持っていた場合、こちらのナッツ級のハンドに恐れることなく強気なベットを行うことができますし、
それに乗じて簡単にキャッチできないような過激なブラフも選択されるでしょう。
そうならないように、UTG側もナッツ級のハンドをチェックレンジに割り振ることで、このようなエクスプロイトをされない戦略にしているわけです。

では、なぜわずかながらもローポケットや、Q9やJ9のようなトラッシュハンドにもチェックレンジが割り振られているのかと、疑問に思うかもしれません。
これはターン以降の戦略に関わる多様な要素が絡み合う複雑な話なので、全てをここで解説するのは難しいのですが、1つ分かりやすいものを紹介します。
上記までの話では、UTG側のチェックレンジはナッツ級のハンドとトップヒット級のハンドのみで構成されているわけですが、
そのようなレンジに対してBB側はブラフを仕掛けたいと思うでしょうか?
マージナルなハンドだけであれば、チェックだけでショーダウンまで行ってしまうことも許容できますが、ナッツ級のハンドでポットが膨らまないのは大きな問題になります。
ある程度相手にもブラフを行う隙を与えなければ、UTG側がナッツ級のハンドをチェックレンジに割り振る意味が半減してしまうわけですね。
レンジを強くするばかりがバランスを取るということではないということです。

ここまでAAKボードでなぜチェックレンジを作る必要があるのかを解説してきましたが、感の良い人は1つの疑問が浮かんでいると思います。
それって、AAQとかAA9みたいなボードでも同じことが言えるんじゃないの?でもそっちにはチェックレンジ全く無いよね?と。
まさにその通りで、他のAAxボードでも同様のことが言えます。

AAQ-r BB

上図はAAQボードでのUTGのCBに対するBBの戦略です。
コール以上のアクションを行うハンドは、Aのトリップス、Qヒット、ポケット、ガットショットの4つに、わずかにKハイのバックドアフラッシュが加わっているだけです。
ほとんどAAKの時と変わらない強力なレンジと言えるでしょう。
その他のAAxボードでも同じで、トリップス、トップヒット、ポケット、ドロー系(ガットショットがないボードではダブルバックドアなど)のみでBB側のコール以上のレンジは構成されており、
UTGがCBを打っても、BBがフォールドしなかった時点で渋くなるようなハンドはどのボードでも存在します。
にも関わらず、AAK以外のボードではレンジCBが戦略として示されているのはなぜでしょうか?

それは、スケアカードの存在による影響が大きいからです。
例えばAAKボードでUTGがQQを持っている時、BBのレンジ内のQQより弱いハンドがターンの1枚でQQを逆転できるようなカードはほとんどありません。
ポケットがセットに昇格する、ガットショットがストレートに昇格するというのはありますが、そもそもこれらのハンドはCBに対してもフォールドしないため、
UTGがCBを打つかどうかという部分には関係がない部分です。
逆にCBを打って降りるようなハンドはターンの1枚でQQを逆転することはできないですよね。
つまり、タダでターンのカードを見せることによるリスクが全く存在しないわけです。

では、AAQのボードではどうでしょうか?
この場合はQQの代わりにJJを例に挙げるのが適正だと思いますが、
BB側のレンジにCBには降りるけどターンが見れたら逆転できるかもしれない。
と言えるようなハンドはあるでしょうか。
Kハイがまさにそのハンドになりますね。
一部のKハイはコール以上で抵抗してくる振り分けもありますが、フォールドに振り分けられている頻度の方が圧倒的に多いです。
そのうえで、ターンでKが落ちればJJを逆転することができます。

つまり、BB側のエクイティ実現を妨げる価値が大きいため、コールされたらマージナルになってしまうUTGのハンド群でもCBを打つべきとなり、
結果としてレンジの全てでCBを打つことが肯定されるというわけです。
これが、AAxの中でもなぜAAKだけチェックレンジが用意されている理由ですね。

今回の記事はここまでとなります。
最後までお読みいただきありがとうございました( `ー´)ノ